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あなたに贈る5つの質問

ピーター・ドラッカーという経営学者がいる。

20世紀を代表する思想家であり、
経営者に向けてこんな問いを残した。

「われわれのミッションは何か?」
「われわれの顧客は誰か?」
「顧客にとっての価値は何か?」
「われわれにとっての成果は何か?」
「われわれの計画は何か?」

これを「経営者に贈る5つの質問」という。

組織を問い直すための、シンプルで本質的な問いだ。

このシリーズを書きながら、私はずっと考えていた。

この問いを、組織ではなく、
自分自身に向けたら、どうなるか。

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これまでの記事を通じて、私が書いてきたことがある。

自分を知ること。
強みと弱みを正直に見ること。
ポジションを定めること。
ミッションを持つこと。
リソースを意識的に配分すること。
小さく動き、失敗を経験に変えること。
そして、今を生きること。

これらはすべて、
「自分という組織をどう経営するか」という問いへの、
私なりの答えだった。

最後に、あなたへ、
5つの質問を贈りたい。

答えは、すぐに出なくていい。
正解も、ない。

ただ、この問いを持ち続けることが、
自己経営の出発点になると、私は信じている。

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【第1の質問】

「あなたのミッションは何か?」

なんのために生きているか、ではない。

「今の自分は、何のために動いているか」だ。

大げさな答えでなくていい。
「家族が安心して暮らせる環境をつくること」でも、
「自分の専門性で、誰かの選択肢を増やすこと」でも。

ミッションとは、判断の軸だ。

何かを選ぶとき、何かを手放すとき、
「これは自分のミッションに近づくか、遠ざかるか」と問える言葉があるかどうか。

その言葉を、持っているか。

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【第2の質問】

「あなたの強みは、言葉になっているか?」

「強みはありますか」という問いに、
他人の言葉を借りずに答えられるか。

自分の内側にあるものを、
内部環境と外部環境を分けて見た上で、
「これが、今の自分の強みだ」と言えるものがあるか。

強みは、完璧でなくていい。
「突出した才能」でなくていい。

「自分が自然にやっていて、他の人には簡単ではないこと」を、
一つでも言葉にできているか。

その言葉が、ポジショニングの土台になる。

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【第3の質問】

「あなたの時間とエネルギーは、今どこに向かっているか?」

手帳を開いて、先週の予定を見てほしい。

会議、対応、依頼、義務。
そこに費やした時間の合計と、
「自分が本当に重要だと思うこと」に使った時間の合計を、
比べてみてほしい。

その差が、今の自己経営の現在地だ。

責めるためではない。
知るためだ。

知らなければ、変えられない。

3年後の自分に近づくために、
今週、何かを一つ手放せるか。

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【第4の質問】

「あなたは今、自分の意志で選択しているか?」

今日の行動のうち、
「自分がやると決めたこと」はいくつあるか。

求められたから動いているのか、
自分が動くと決めたから動いているのか。

その違いは、傍から見れば同じに見える。
しかし、積み重なったとき、まったく違う場所に辿り着く。

「仕方なく」という言葉を、今日何回使ったか。

主体的に生きるとは、
状況に反応して動くのをやめ、
自分の軸から選択することだ。

今日、一つだけ「自分がそう決めた」行動を、
意識的に選べるか。

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【第5の質問】

「あなたは今、楽しんでいるか?」

最後の問いが、これだ。

楽しむことは、軽い話ではない。

楽しんでいるとき、人は最も力を発揮する。
楽しんでいるとき、人は今ここにいる。
楽しんでいるとき、人は「生きている」と感じる。

楽しんでいないとすれば、なぜか。

方向が見えていないからか。
意味を感じられていないからか。
誰かの期待に応えることだけに、疲れているからか。

その理由を正直に見ることが、
自己経営の次の問いになる。

楽しむことは、与えられるものではない。
設計できるものだ。

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5つの質問を、もう一度並べる。

「あなたのミッションは何か?」
「あなたの強みは、言葉になっているか?」
「あなたの時間とエネルギーは、今どこに向かっているか?」
「あなたは今、自分の意志で選択しているか?」
「あなたは今、楽しんでいるか?」

これらに、今すぐ答えを出す必要はない。

しかし、問いを持ち続けてほしい。

問いは、答えが出た瞬間に終わるものではない。
答えが更新されるたびに、また深まるものだ。

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ドラッカーの言葉を、私はこう解釈している。
「重要なことは、正しい答えではなく、正しい問いを見つけることだ」

自己経営に、完成はない。

しかし、問いを持ち続けている人間と、
持っていない人間では、
5年後、10年後に、確かな差が生まれる。

このブログを読んでくださったあなたが、
今日から、自分への問いを一つ持ち帰ってくれるなら、
このシリーズを書いた意味がある。

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外科医として、経営者として、
私はこれからも問い続ける。

自分を知ること。
方向を持つこと。
意図を持って選択すること。
そして、今を楽しむこと。

あなたにも、その問いが届くことを願っている。

(終)

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このブログ「自己経営」では、
医療法人の経営者として、外科医として、
自分の人生を主体的に設計するための視点を綴りました。

自己経営に、正解はありません。

しかし、問いを持ち続けることで、
少しずつ、自分だけの答えが見えてきます。

自己分析とは何か。
強みと弱みをどう見るか。
どこに立ち、何に集中すべきか。
そして、主体的に今を生きるとはどういうことか。

問い続けることが、今を生きることだと気づいた。

キーワード

経営者に贈る5つの質問:ドラッカーが組織に向けて提示した、ミッション・顧客・価値・成果・計画を問う5つの問い。このシリーズでは、組織ではなく自分自身に向け直すことで、自己経営の問いとして再解釈している。
自己経営:自分という存在を、一つの組織として主体的に運営し続けること。自分も外部環境も変わり続けるため、完成することはなく、診断・戦略・ポジションを定期的に更新し続けるプロセスそのものを指す。

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院長 松下公治

この記事は埼玉外科クリニック院長松下が執筆。腹腔鏡による鼠径ヘルニアの日帰り手術を専門に研究。外科専門医、消化器外科専門医・指導医、内視鏡外科技術認定医(ヘルニア)。

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