当院の日帰り手術はどんな麻酔法ですか?
当院の鼠径ヘルニア(脱腸)、虫垂炎(盲腸)の日帰り腹腔鏡手術は、全身麻酔で行っています。
全身麻酔は、麻酔科専門医が行っています。
点滴から麻酔薬を投与と10秒ほどで眠ってしまい、目が覚めるたときは既に手術が終わっています。
手術中は完全に寝ていますので、意識は全くなく、痛みも全くありません。
麻酔で使用する薬は、作用時間が短いものを使っています。
そのため、通常の全身麻酔よりも目覚めるまでの時間が早く、日帰り手術には欠かせません。
麻酔中によく行われる処置として、尿道カテーテルの留置や気管内挿管がありますが、当院では通常行っていません。
術後に尿道の痛みが辛くなることを防いだり、のどに対する侵襲を少しでも和らげるためです。
全身麻酔に関連した合併症は?
全身麻酔に関連した合併症(併存症)は、アレルギー、吐き気、のどの痛み、歯の損傷、せん妄、肺炎、喘息発作、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、肺塞栓症、悪性高熱症などがあります。
日帰り手術を安全に行う当院の工夫とは?
当院では大病院と同等か、それ以上の安全性を確保するため、様々な工夫をしています。
まず、外科医として、院長自身が常に最新の知識・技術を得ることで、診療内容の改善に努めています。
1日3件に手術件数を限定することで、診療の質を維持しています。
患者さんにとって日帰り手術よりも入院手術の方が望ましい病状だと判断した時は、ためらわずに入院手術をお勧めしています。
麻酔科専門医が全身麻酔をかけており、麻酔の安全性を確保する上で最も重要だと考えています。麻酔科医と外科医が協力すれば、例え緊急事態が発生しても、迅速かつ適切に対応することができます。
緊急時に使用する物品として、心肺停止時に使うAED(除細動器)や、気道確保が困難な時に使う輪状甲状間膜穿刺キットを準備しています。
薬剤としては、悪性高熱症に使うダントロレン、心肺停止時に使うアドレナリンやアトロピン、昇圧剤のイノバンやノルアドレナリン、降圧薬のペルジピン、狭心症治療薬のニトロールやシグマート、喘息治療薬のサルタノールなどの緊急薬剤を準備しています。
手術に使う機器は、万が一のトラブルに備えてメーカーと保守契約を結び、交換部品も準備しています。
急な停電に備えて、ポータブル電源を用意しています。
万が一の出血に備えて、止血するための器具や、止血剤、血管縫合用の糸も用意しています。
これらは緊急時以外には不要な備えも多く、一見無駄に感じるかもしれませんが、万が一の事態にも最善を尽くせる体制作りが重要だと考えています。

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