両側同時に鼠径ヘルニア（脱腸）の手術はできますか？両側鼠径ヘルニアの確率は？

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両側同時に鼠径ヘルニア（脱腸）の手術はできますか？両側鼠径ヘルニアの確率は？

院長松下

鼠径ヘルニアは両側同時に手術することが可能です。ヘルニア外科医が両側鼠径ヘルニアについて詳しく解説します。

両側鼠径ヘルニア（脱腸）とは？

両側鼠径ヘルニアとは、左右両側で鼠径ヘルニアが発症していることをいいます。

実際には全く同時に発症するわけではありません。
片方の経過をみていたら対側も発症することや、同じタイミングで気づくことがあります。

両側鼠径ヘルニア（脱腸）の確率は？

両側鼠径ヘルニアの確率は5〜10%程度です。

ほとんどの場合は、右鼠径ヘルニアか、左鼠径ヘルニアのどちらか一方だけで、片側だけ発症するのが一般的です。

両側鼠径ヘルニア（脱腸）の特徴は？

両側鼠径ヘルニアでは、内鼠径ヘルニア（直接型）の可能性が高い傾向があります。
ヘルニア門（穴）が大きいことが多く、広くメッシュで覆うことで、しっかりと壁を補強する必要があります。
膀胱が脱出していることもあるので、注意が必要です。

右鼠径ヘルニアと左鼠径ヘルニアのどちらが多い？

右鼠径ヘルニアの方が左鼠径ヘルニアよりも若干多い傾向があります。

統計学的には左側よりも右側の鼠径ヘルニアの方がわずかに多いものの、その原因はわかっていません。

両側同時に鼠径ヘルニア（脱腸）の手術はできますか？

鼠径ヘルニアの手術は両側同時にできます。

両側鼠径ヘルニアの場合は、同じ穴から両側の手術ができる腹腔鏡手術が勧められています。
病状のため腹腔鏡手術ができない場合は、左右各々を5cm程度切開して手術します。

鼠径ヘルニア（脱腸）は反対側に再発することがありますか？

鼠径ヘルニアを手術した後に、反対側に鼠径ヘルニアを発症することがあります。
ただし、反対側に発症した場合は、再発とは言いません（初発です）。
初発の鼠径ヘルニアとして、通常通りに手術を行います。

発症していない反対側の鼠径ヘルニア（脱腸）も一緒に手術できますか？

発症していない鼠径ヘルニアの手術は、技術的には可能ですが、基本的に勧められていません。
ガイドラインでは勧められておらず、合併症のリスクや費用面でも、メリットはありません。

右鼠径ヘルニアと左鼠径ヘルニアの手術は同じですか？

鼠径部の解剖は左右対称ですので、基本的に左右で同じ手術を行います。

ただし手術を行う術者には利き手があるので、左右で手術の手順が違うことが一般的です。
私も左右で腹膜を切開する手順や、剥離の手順、腹膜縫合の手順が少し違います。

2023.01.01

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