大人の臍ヘルニア(でべそ)とは?
大人の臍(さい)ヘルニアとは、臍(へそ)に発生するヘルニアで、臍が膨らんで出てくる病気です。
俗に出べそと言います。
臍の奥にある筋膜が裂けて広がることで、お腹の中から腸や大網(脂肪)などが出てくるのが原因です。
大人の臍ヘルニアは嵌頓(かんとん)するリスクが高いヘルニアです。
嵌頓とは、腹腔内にあった腸管が脱出して戻らなくなることです。
嵌頓すると、腸管が締め付けられて腸が詰まってしまう(腸閉塞)や、腸管が壊死してしまうことがあり、緊急手術が必要になります。
小児の臍ヘルニアとは違って、大人の臍ヘルニアが自然に治ることはありません。
大人の臍ヘルニアになりやすいリスク因子は、肥満、腹部膨満、腹水、妊娠などです。
それらが原因でお腹の中の圧力が上昇し、臍がぽっこり膨らみます。
大人の臍ヘルニアってどんな症状?
立ち上がったり座ったりすると、臍付近の皮膚が膨らんで出てきて、横になると元に戻ります。
手で押し込まないと戻らないこともあります。
痛みや違和感を伴うことがあります。
大きくなると、皮膚に潰瘍ができたり、虚血を伴うことがあります。
大人の臍ヘルニアの診断は立位と臥位で触診して行います。
ヘルニア門(裂けた筋膜の穴の部分)の大きさと位置、ヘルニア嚢(飛び出た袋状の部分)の大きさを確認します。
また、押して腹腔内に還納できる(戻る)かどうかも重要なポイントです。
また、CT検査でヘルニア門の大きさや位置、ヘルニア嚢の大きさや内容物を詳細に確認したり、腹壁を構成する筋肉の状態を把握することができます。
大人の臍ヘルニアの手術方法は?
大人の臍ヘルニアを治すには、筋膜が裂けてできた穴を塞ぐ必要があります。
穴を糸で縫ったり、メッシュを敷いたりして塞ぎます。
縫合のみだとメッシュを敷いた場合と比較して再発率が髙いものの、異物を留置しない利点もあります。
そのため、ヘルニア門が小さい場合は、縫合のみを行うこともあります。
手術方法は様々ですが、腹腔鏡手術か開腹手術で大きく分けることができ、腹腔鏡手術では入院期間が短くなり、短期的なQOLが高く、創感染が減るのが利点です。
大人の臍ヘルニアを治療する目的は2つあります。
痛みや違和感、美容的な問題などの症状を改善することと、嵌頓のリスクを防ぐことです。
手術に関連した合併症としては、慢性疼痛、創感染、腸管損傷、腸管麻痺、腸閉塞、ヘルニア再発、メッシュの膨隆、漿液腫などがあります。
大人の臍ヘルニアは、手術をしないで様子をみてもいいですか?
大人の臍ヘルニアは嵌頓するリスクが髙いので、手術することが勧められています。
大きくなってしまう前に手術することをお勧めします。
大人の臍ヘルニアのガイドライン
大人の臍ヘルニアのガイドラインはまだありません。
※当院で臍ヘルニアの診療は行っていませんので、ご注意ください。