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キズパワーパッドで外科医が傷を早くきれいに治す方法|湿潤療法・張り替えのタイミング

患者さん

浅い擦り傷や切り傷は、とりあえず消毒して乾かせばいいですか?


院長松下

現在の外傷治療では、傷は乾かさず、創傷被覆材(キズパワーパッド)で覆って治すのが基本です。傷を早くきれいに治す方法や、湿潤療法のメリット、キズパワーパッドの正しい使い方を、外科医が分かりやすく解説します。

傷を早くきれいに治すために大切な考え方

傷(きず)を早くきれいに治すのに最も大切なことは、何でしょうか?
それは、傷を乾かさないことです。

皮膚は、しっとりした湿潤環境で最も早く再生します。
かさぶたは「治っているように見えるだけ」で、実は修復を遅らせていることも少なくありません。

20年ほど前は、傷は乾かして治すのが一般的でした。
ケガをしたら、消毒して、ガーゼを当てて、乾かしてかさぶたにして治していました。
消毒する時やガーゼを剥がす時が痛くて、傷の治りが汚くなってしまうのが欠点でした。

湿潤療法とは?

湿潤療法(モイストヒーリング)とは、傷口を乾燥させず、適度な湿り気を保ちながら治す方法です。
現在、病院の外傷治療でも広く使われています。

コンビニやドラッグストアで売っている創傷被覆材(キズパワーパッド、ケアリーヴ治す力など)を使えば、自分でも傷を早くきれいに治すことができます。

湿潤療法のメリット

  • 傷が早く治りやすい
  • 痛みが少ない
  • 傷痕が残りにくい

傷の正しい治し方について、詳しく解説します。

キズパワーパッド(創傷被覆材)はなぜ効果があるのか

キズパワーパッドは「ただの絆創膏」ではありません。
キズパワーパッドは、傷に張る市販の創傷被覆材(そうしょうひふくざい)と呼ばれる医療材料の一種です。

ハイドロコロイドが使われており、医療現場でもよく使われる素材です。
防水性なので、水仕事にも便利で、私は常備しています。

主な特徴
・傷から出る体液を吸収しつつ保持
・傷を外部刺激から保護
・皮膚の再生を促進

市販品を使って自分で湿潤療法ができる、非常に便利なアイテムです。

» キズパワーパッド(公式ページ)

様々な創傷被覆材(ケアリーヴ治す力など)

素材にハイドロコロイドを使用していれば、他の創傷被覆材でも代用できます。
ケアリーヴ 治す力(ニチバン)はよく見かけるので手に入りやすいです。
大きさや形、厚さが商品によって違うので、好みのものを選んでください。

Tips医療現場では、止血に優れた「アルギン酸塩」や、吸水性に優れた「ポリウレタンフォーム」、透明フィルムの「ポリウレタンフィルム」など、様々な素材を使った創傷被覆材が使われています。

キズパワーパッドで傷を早くきれいに治す方法は?

浅い擦過傷や切り傷は、キズパワーパッドやケアリーヴ治す力などの市販の創傷被覆材を使うことで、外科医と同じ治療が自宅でも可能です。

既に傷が痂皮(かさぶた)で覆われている場合も、その上から張ると同じように治せます。

傷を早くきれいに治す手順

  1. 傷をしっかり洗う:水道水でよく洗い、砂などの異物は取り除きます(消毒は不要です)。
  2. 傷を拭き止血する:水分を拭き取り、圧迫して止血します。
  3. 傷にキズパワーパッドを張る:傷よりも少し大きめのキズパワーパッドを張ります。
  4. キズパワーパッドを張り替える:キズパワーパッドが白くふやけて膨らんできたら、剥がして、水道水で洗って、張り替えます。
  5. キズパワーパッドを剥がす:キズパワーパッドが白くふやけなくなり、薄いピンク色の皮膚で覆われたら、剥がして終わりです。

出血が止まらない時の止血方法は?

出血が止まらない時は、出血している部位を指で直接圧迫するのが最も効果的です。
なかなか止まらない時は、5分間圧迫し続けると(途中でやめてはいけません)、ほとんどの出血は止まります。
それでも止まらない場合は、病院に受診することをお勧めします。

腕や指の根元を縛る人がいますが、虚血となってしまうためお勧めしません。

キズパワーパッドの張り替え時は?いつまで張っておく?

キズパワーパッドを張ると、傷から透明から薄い黄色の浸出液(汁)が出て、キズパワーパッドが白くふやけて膨らみます。

皮膚まで白くふやけてしまうと傷の治りが悪くなるので、その前にキズパワーパッドを張り替えましょう。
キズパワーパッドが剥がれたり、浸出液が漏れてきた時も張り替えましょう。

最初は浸出液が多いので、1日1回以上張り替えることもあります。
毎日必ず交換する必要はありません。

薄いピンク色の皮膚で覆われて、キズパワーパッドが白くふやけなくなったら、もう張り替えなくても大丈夫です。
傷が治った後の数ヶ月間は、日焼けすると色素沈着して皮膚が黒くなるので注意が必要です。

自分で治せる傷 vs 病院で処置が必要な傷

自分で治せる傷と、病院で処置が必要な傷は、どのように区別できるのでしょうか?

大抵は今までの経験から、これなら病院にかからなくても自然に治りそうとわかると思います。
その感覚は非常に大切です。
どうしたらいいかわからない傷は、迷わず受診した方がいいでしょう。

代表的な傷の種類

  • 擦過傷(さっかしょう):擦り傷。転んだりして、擦りむいた傷。
  • 切創(せっそう):切り傷。包丁やガラスなどで切った傷。
  • 挫創(ざそう):何かにぶつけることで、皮膚が割れてさけた傷。
  • 咬創(こうそう):かみ傷。犬などにかまれた傷。
  • 刺創(しそう):刺し傷。釘などの鋭利なものが刺さった傷。

自分で治せる傷は?

浅い擦過傷や切り傷は、自分で治せます
そのままにしていても、かさぶたができて自然に治りますが、時間がかかり、きれいには治りません。
キズパワーパッドを使った湿潤療法なら、より早くきれいに治すことがでます。

病院で処置が必要な傷は?

深い傷は病院で処置が必要です。

挫創、咬創、刺創は深いことが多く、病院で処置した方がいい傷です。
特に、かまれた傷や釘などを刺した傷は感染のリスクが高いので、必ず医師に診てもらいましょう。
感染している時、汚染が強い時、洗ってもきれいにならない時、出血が止まらない時はすぐに病院に受診しましょう。

病院では麻酔下での処置、傷の縫合、感染予防薬の投与ができます。
汚染している傷も麻酔することで、よく洗うことができます。

Tips傷が感染(化膿)すると、傷の周囲が赤く腫れて、熱をもち、ズキズキ痛くなります。膿が出ることもあります。

キズパワーパッドを使う時の注意点

  • 傷が悪化していると感じた時、傷が感染(化膿)した時は、病院に受診しましょう。
  • 止血効果はないので、圧迫し止血してから張ります。
  • 傷を寄せる効果はないので、傷がぱっくり割れてしまった時は、病院で処置しましょう。傷口がきれいに合わさっていることが、きれいに傷を治すには大切です。
  • キズパワーパッドの周囲から浸出液(汁)が漏れる時は、キズパワーパッドを大きくするか、交換の頻度を増やすといいです。

よくある質問(FAQ)

Q:消毒しなくて大丈夫ですか?
A:感染を防ぐには、水道水でよく洗うことが大切です。異物を洗い流せない時は、病院に受診しましょう。消毒薬を使うと、治癒を遅らせるため勧められません。

Q:お風呂は入っていいですか?
A:基本的には問題ありません。長時間の入浴は避けましょう。

Q:子どもの傷にも使えますか?
A:同じように使用できますが、深い傷や不安があれば受診をお勧めします。

※このページでは創傷(そうしょう)のことを、日常語として使われる傷(きず)と記載しました。医学用語としての創(開放性損傷)と傷(非開放性損傷)は区別されていますが、わかりやすくするために、不正確な用語を使用している部分があります。

当院は鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り手術を専門とする外科クリニックです。本ページは一般的な医療情報の提供を目的としています。当院では傷の診療を行っていませんので、お近くの医療機関でご相談ください。

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院長 松下公治

この記事は埼玉外科クリニック院長松下が執筆。腹腔鏡による鼠径ヘルニアの日帰り手術を専門に研究。外科専門医、消化器外科専門医・指導医、内視鏡外科技術認定医(ヘルニア)。

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