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足の付け根(鼠径部)のしこり・痛みの原因は?見分け方と何科か

患者さん

足の付け根にしこりがあって、押すと少し痛みます。原因は何ですか?何科を受診すればいいですか?


院長松下

足の付け根のしこりで最も多い原因は、鼠径ヘルニア(脱腸)です。ほかにもリンパ節の腫れや脂肪腫など、さまざまな原因があります。しこりの特徴による見分け方と、何科に行けばいいかをヘルニア外科医が解説します。

足の付け根(鼠径部)のしこり・痛みの原因は?

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足の付け根(鼠径部)や股関節のあたりにしこりを触れるとき、最も多い原因は鼠径ヘルニア(脱腸)です。
立つと膨らみ、押したり横になったりすると戻るのが特徴です。

一方、押しても戻らないしこり、押すと痛いしこり、赤く腫れるしこりは、別の病気の可能性があります。
しこりの「硬さ」「押すと戻るか」「痛みや赤みがあるか」を確かめると、原因をある程度しぼり込めます。

足の付け根には、腹壁(お腹の壁)、血管、リンパ節、神経、股関節まわりの筋肉や腱などが集まっています。
そのため、日常の違和感からスポーツ障害、手術が必要な病気まで、原因はさまざまです。

足の付け根のしこりの見分け方と何科に行くか

しこりの特徴ごとに、考えられる主な病気と受診先をまとめました。

しこりの特徴考えられる主な病気受診先
柔らかい。立つと膨らみ、押すと戻る鼠径ヘルニア(脱腸)鼠径ヘルニア外来、外科
鼠径ヘルニアより少し太もも側にある小さなしこり大腿ヘルニア鼠径ヘルニア外来、外科
弾力があり、押しても戻らないヌック管水腫(女性)、精索水腫(男性)外科(男性は泌尿器科)
小豆くらいの硬いしこり鼠径リンパ節の腫れ内科
押すと痛い。足のケガや感染がある鼠径リンパ節炎内科(原因により皮膚科、泌尿器科、婦人科)
皮膚のすぐ下にあり、押しても戻らない脂肪腫、粉瘤(アテローム)皮膚科、形成外科
赤く腫れて熱をもち、痛い感染した粉瘤、皮下膿瘍、蜂窩織炎皮膚科、形成外科
陰のうの上が柔らかく膨らみ、立つと強くなる精索静脈瘤泌尿器科
しこりはなく、走る・蹴るなどの動作で痛む鼠径部痛症候群、股関節の病気整形外科、スポーツ整形外科
脈を打つように拍動する動脈瘤など血管の病気早めに受診(血管外科)

女性で、下腹部痛や月経に関連した症状を伴う場合は、婦人科の病気も考えられます。

ただし、これはあくまで目安です。
見た目や触った感じだけで正確に見分けるのは難しいので、迷ったらまず外科で相談しましょう。

足の付け根のしこり・痛みで考えられる病気

鼠径ヘルニア(脱腸)

足の付け根のしこりで最も多いのが、鼠径ヘルニアです。
鼠径部の腹壁の隙間が弱くなって穴があき、そこからお腹の中の腸や脂肪が皮膚の下に出てくる病気です。
中高年の男性に多いですが、年齢や性別を問わず発症します。

立つと膨らみ、押したり横になったりすると戻るのが特徴です。
膨らみはピンポン球から卵ぐらいの大きさが多く、進行すると陰のうまで膨らむこともあります。
症状は軽い違和感ぐらいのことが多く、膨らんだときに重い感じや突っ張るような痛みを感じることもあります。

進行すると、腸がはまり込んで戻らなくなる嵌頓(かんとん)を起こすことがあります。
鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、治すには手術が必要です。

大腿ヘルニア

大腿(だいたい)ヘルニアは、鼠径部ヘルニアの一種です。
鼠径ヘルニアよりやや足側(太もも側)に、しこりを触れます。

女性に多く、しこりが小さいため気づきにくいのが特徴です。
嵌頓を起こしやすいので、疑わしい場合は早めに鼠径ヘルニア外来や外科で相談しましょう。

ヌック管水腫(女性)、精索水腫(男性)

ヌック管水腫は、女性の鼠径部にあるヌック管に液体がたまる病気です。
若い女性に多く、鼠径部にコリッとしたしこりを触れ、押しても戻りません。
しこりの大きさが変化したり、軽い痛みを伴ったりすることがあり、子宮内膜症と関連することもあります。
外科で相談し、経過観察や水腫の切除を検討します。

男性では、同じ仕組みで精索に液体がたまる精索水腫があります。
泌尿器科で相談しましょう。

鼠径リンパ節の腫れ(リンパ節腫大、リンパ節炎)

鼠径部のリンパ節が腫れると、小豆のような硬いしこりとして触れます。
足や陰部、骨盤内の感染などが原因となり、腫れて押すと痛むことがあります(リンパ節炎)。

まずは内科で相談しましょう。
原因によっては、皮膚科、泌尿器科、婦人科などで治療することもあります。

皮下腫瘍、皮下膿瘍(脂肪腫、粉瘤など)

皮膚の下に脂肪腫などの腫瘍や粉瘤(アテローム)ができると、しこりとして触れます。
押しても戻らないのが特徴です。

赤く腫れて痛む場合は、粉瘤に感染を起こしている可能性があります。
皮膚科や形成外科で相談しましょう。

鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)

鼠径部痛症候群は、サッカーなどのスポーツ選手に多い病気です。
走る、蹴る、方向転換するといった動作で鼠径部が痛み、安静にしていると軽くなることが多いです。
しこりがないのが特徴です。

筋肉、腱、靱帯、関節など、複数の要因が関係して痛みが起こります。
整形外科、スポーツ整形外科で相談しましょう。

精索静脈瘤

精索静脈瘤は、精巣から戻る静脈がこぶのように広がる病気です。
陰のうの上部から鼠径部にかけて、柔らかいしこりや重い感じの痛みを感じることがあります。
立っていると症状が強くなり、横になると軽くなることが多いです。

陰のうが腫れて痛む場合は、精巣上体炎など他の病気の可能性もあります。
泌尿器科で相談しましょう。

股関節や内臓、婦人科の病気

しこりがなく、足(股関節)を動かすと痛む場合は、股関節や恥骨まわりの炎症など、整形外科の病気が考えられます。
お腹の奥が痛む場合は、腸など内臓の病気が原因のこともあります。
女性の場合は、婦人科の病気も考える必要があります。

足の付け根のしこりは、がんの可能性がある?

足の付け根のしこりの多くは、鼠径ヘルニア、リンパ節炎、脂肪腫、粉瘤などの良性の病気です。
ただし、まれに悪性リンパ腫やがんの転移などで、リンパ節が腫れることがあります。

次のような場合は、早めに医療機関で検査を受けましょう。

  • 硬くて、押しても動かない
  • 大きくなり続けている
  • 数週間たっても小さくならない
  • 原因のわからない発熱、寝汗、体重減少を伴う

心配なしこりは、自己判断せずに診察を受けることが一番の安心につながります。

女性の足の付け根のしこりは?

鼠径ヘルニアは男性に多い病気ですが、女性にも起こります。
女性では、次の病気にも注意が必要です。

  • 大腿ヘルニア:女性に多く、しこりが小さいため気づきにくい。嵌頓を起こしやすい
  • ヌック管水腫:若い女性に多い。押しても戻らない、弾力のあるしこり
  • 婦人科の病気:下腹部痛や月経に関連した症状を伴う場合

すぐに受診が必要な症状は?

次のような症状がある場合は、様子を見ずに早めに受診しましょう。

  • しこりが戻らなくなり、強く痛む
  • しこりが硬く張って、吐き気や嘔吐、お腹の張りがある
  • しこりが急に大きくなった
  • 赤く腫れて熱をもち、発熱がある
  • 脈を打つように拍動するしこりがある

特に、鼠径ヘルニアの嵌頓は、時間が経つと腸が壊死するおそれがあります。
夜間や休日でも、救急外来を受診してください。

拍動するしこりは、血管の病気(動脈瘤など)の可能性があります。
カテーテル検査などで足の付け根の血管に針を刺したことがある方は、特に注意が必要です。

足の付け根のしこりを診断する検査は?

診察(視診・触診)

鼠径ヘルニアであれば、外科医の診察(感度75%、特異度96%)でほとんどの場合は診断できます。
立ち上がると鼠径部がぽっこり膨らみ、押すとクチュクチュっと戻る場合は、触っただけで診断が可能です。

膨らみがはっきりしない場合や、押しても戻らないしこりがある場合は、他の病気の可能性も考えて検査を追加します。

超音波検査、CT検査

診察ではっきりしない場合は、超音波検査(感度86%、特異度77%)やCT検査(感度80%、特異度65%)などを組み合わせて診断します。
必要に応じてMRI検査を行うこともあります。

当院では、超音波検査を診察室に常備して、その場で検査しています。
立った状態でお腹に力を入れてもらいながら検査できるので、横になった状態よりも多くの情報が得られます。

しこりが時々しか出ない場合は?

受診したときにしこりがはっきりしないと、診断がつかないことがあります。
しこりが時々しか出ない方は、しこりが出ている状態で受診することをお勧めします。
出たときにスマートフォンで写真を撮っておくと、診断の参考になります。

まとめ

  • 足の付け根(鼠径部)のしこりで最も多い原因は、鼠径ヘルニア(脱腸)
  • 立つと膨らみ、押すと戻るしこりは鼠径ヘルニアの典型的な症状
  • 押しても戻らない、押すと痛い、赤く腫れる、しこりのない痛みは、別の病気の可能性がある
  • 症状によって受診する診療科が異なる。迷ったらまず外科で相談
  • しこりが戻らず強く痛む場合は、嵌頓の可能性があるため早急に受診

よくある質問(FAQ)

Q:足の付け根にしこりがあり、押すと引っ込みます。これは何ですか?
A:鼠径ヘルニアの可能性が高いです。立っているときやお腹に力を入れたときに膨らみ、横になると引っ込むしこりは、鼠径ヘルニアの典型的な症状です。鼠径ヘルニア外来や外科で相談しましょう。

Q:股関節のあたりにしこりがあります。股関節の病気ですか?
A:股関節は体の奥深くにある関節のため、皮膚の上から触れるしこりの多くは、股関節そのものではありません。鼠径ヘルニアやリンパ節の腫れ、脂肪腫など、股関節の手前にある鼠径部(足の付け根)の病気であることがほとんどです。股関節の病気では、しこりは触れず、歩く・立ち上がるときの痛みが中心になります。

Q:足の付け根のしこりを押すと痛いです。何が考えられますか?
A:リンパ節炎や、感染した粉瘤などが考えられます。足のケガや水虫などの感染がきっかけで、リンパ節が腫れて痛むこともあります。赤みや熱、発熱がある場合は早めに受診しましょう。

Q:痛みはないのですが、しこりがあります。受診したほうがいいですか?
A:痛みがなくても、一度受診することをお勧めします。鼠径ヘルニアは痛みがないことも多いですが、自然に治ることはなく、嵌頓を起こすことがあります。押しても戻らないしこりも、原因を確認しておくと安心です。

Q:足の付け根が赤く腫れて痛みます。どうしたらいいですか?
A:赤く腫れて熱をもっている場合は、感染を伴っていることがほとんどです。感染した粉瘤や蜂窩織炎などのことが多いので、早めに皮膚科で相談しましょう。発熱がある場合や腫れが急に広がる場合は、早急に受診してください。

Q:足の付け根のしこり・痛みを放置しても大丈夫ですか?
A:よくある症状ですが、放置すると重症化する病気も含まれています。しこりがある、運動時に痛む、違和感が長引いているといった場合は、医療機関で相談しましょう。痛みが徐々に強くなる、しこりが大きくなる、急に強い痛みが出たといった場合は、早急な受診が必要です。

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大宮駅から徒歩3分にある埼玉外科クリニックでは、腹腔鏡による鼠径ヘルニアの日帰り手術を行っています。
当院は最難関の内視鏡外科技術認定医(ヘルニア)の資格を持ったヘルニア外科医による腹腔鏡手術が受けられる、日本でも数少ない外科クリニックです。
ヘルニア外科医の院長松下が、責任を持って手術を行います。
鼠径ヘルニア(脱腸)でお悩みの方は、まずは当院のヘルニア外来に受診してご相談ください。

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院長 松下公治

この記事は、埼玉外科クリニック院長の松下公治が執筆。専門は腹腔鏡による鼠径ヘルニアの日帰り手術。外科専門医、消化器外科専門医・指導医、内視鏡外科技術認定医(ヘルニア)。

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